静岡にある絶景駅「奥大井湖上駅」をご存知ですか?
南アルプスあぷとライン(大井川鐵道井川線)の駅で、かつてはダム建設資材を運んでいました。
現在は秘境駅として名高く、まるでスイスの登山鉄道?かと思わず目を見張るような絶景 !!
何度見ても飽きないフォトジェニックな駅を目指す旅に、行ってみました!
大井川
前々から行きたかった、南アルプスの山麓・川根本町にある「レインボーブリッジ」へ。
ダム湖にポツンと佇む「奥大井湖上駅」と周りの湖面の深い青。
さらに日の当たりによって色調を変え、見る者を惹きつけます。
大井川-001
大井川流域を走るのは、今回で3回目。
最初は、ミニベロで千頭から下流域を、2回目は、大井川の源流域を、
そして今回は、これまでに行ったことのない、千頭から以北の秘境へと踏み入れます。
最近「大井川流域サイクルツーリズム協議会」として、「大井川をめぐる旅に出かけよう!」とサイクリストの誘致に力を入れています。
1日で回るのは、ちょっとハードなので、新金谷から千頭まで輪行し、千頭から大井川を遡上し、井川湖で折り返して、金谷にもどってくるというルートです。

今では、電車輪行する際には、各社の規則に則った仕様で自転車を持ち込めますが、かつては、JR(国鉄)ではこんな「手回り品切符(学生時代に北海道内で輪行したときの切符)」が必要でした。
大井川鐵道は、今でも「手回り品切符」が必要なのです。
他方で、こんな「輪行パック無料レンタルサービス」なるもやっているのです。

大井川-001
千頭駅をあとにして、大井川の更なる奥地へと向かいます。
山々の新緑が眩しく、また、エメラルドグリーンの大井川の川面がとても綺麗ですね!

大井川-002
途中、井川線の「アプトいちしろ駅」に寄り道。
井川線は「日本で唯一」、アプト式列車が運行している路線なのです。

アプト式」とは、急勾配を登るための鉄道システムの一種。
登坂用に列車に装着されている歯車を、ラックレールと呼ばれる歯形のレールに噛み合わせて走行します。
アプト式の実力が発揮されるのは、この「アプトいちしろ駅」から次の「長島ダム」へ向かうところ。
なんと90パーミル(9%)という国内の鉄道において「最も急な勾配」を登るのです。
このトロッコ列車、可愛いビジュアルなのになかなかのやり手です。

大井川-003
急坂を登るため、アプトいちしろ駅で、最後尾にアプト式機関車を連結します。
その連結作業を、この駅で見ることが出来るのです。

大井川-004
アプトいちしろ駅での連結作業を見た後、走り進むと見えてくる「長島ダム」。
長島ダムは2002年に竣工したダムで、大井川筋で一番新しいダム。
ダムの下には公園が整備され、公園からダムを見上げてその大きさを感じますね。

大井川-005
先週の小渋ダムでは残念ながら入手できなかった、天皇陛下御在位三十年の記念ダムカードをゲット!

大井川-006
井川湖まで行く予定だったけど、「奥大井湖上駅」でトロッコ電車が通過するところを見たかったので、時間調整するために、接阻峡温泉で折り返すことに。

周辺をポタポタしていると、どうもフロントタイヤから周期的に異音がするぞ・・・
どこから音が出ているんだろうとタイヤを見てみると.....
オーッ! 画鋲が刺さっているではないか!
慌てて取り除いたけれど、どうにもならない....。 シュュュュュ・・・

後で冷静になってから、マンガのように、あまりにもキレイに画鋲が刺さっていたので写真を撮っておけばよかったと後悔。ブロガー魂!w
パンクの原因が画鋲と分かっていたので、タイヤの異物チェックをすることなく、即座にチューブ交換。
CO2ボンベで一気にエア注入で、F1のピットイン並みに、5分程で完了! 冷や汗....

大井川-007
そして見よ、ここが絶景秘境駅「奥大井湖上駅」であーる!
なんとか、時間ギリで「奥大井湖上駅」の展望スポットへ。
そして、壮大な自然と接岨湖に抱かれた風景に見とれていたら、赤いトロッコ列車がトコトコとレインボーブリッジの赤い橋を渡り始めたよ~!

大井川-008
この駅で、乗り降りする観光客の様子が見えますねー
ん~、もう少し太陽の光が欲しいなー

大井川-008
どうですか奥様、この絶景……。
この中に赤いトロッコ列車が加わったとき、更なるいい景色ですねー 神秘的で、雄大です。
しばしば、スイスの登山鉄道にも例えられる、大自然をぬうように架かる赤い橋と、その中を走る赤いトロッコ列車。列車が来るタイミングで、その風景をカメラにおさめられて良かったです。

大井川-010
千頭駅に戻ってきて、今度は「令和」をデザインしたヘッドマークを装着したSLだん!
こちらも、何とか時間に間に合って千頭駅に到着して、転車台で転回したSLを見ることが出来ました。

今では全国各地に観光列車としてのSLが数多く走っていますが、その先駆けとも言えるのが、この大井川鐵道。大井川鐵道は4両のSLを保有し、一日1~3往復しており、日本で唯一、年間300日以上SLを営業運転している鉄道会社なのです。
また、後で出てきますが、全国の私鉄を引退した車両を整備して運行しています。

大井川-011
下流へと、緑の景色の中に映える、真っ赤なトラス橋を渡っていく。

大井川-012
橋から下を見ると「大井川ブルー」とも言える神秘的な川面が・・・・

大井川-013
大井川流域には人が渡ることのできる吊り橋がいくつもあります。
広い大井川を横断する吊り橋、ダム湖に架かる吊り橋、遺構となった吊り橋、映画などの撮影に使用された吊り橋など、歴史は様々です。
そんな吊り橋を渡るのも、山々の自然を感じたり、スリルを味わったりと、楽しいものです。

大井川-014
「日章旗」と「令和」をデザインしたヘッドマークを付けたSLを追っかけて、時刻表をチェックして、待ち伏せ。
しかし、あっという間に通過して、なかなかシャッターチャンスを捉えるのが難し~い。

機関車本体だけではなく、魅力のもうひとつが、あの「ポーッ!」という汽笛だ。
力強くも、どこか寂しさや哀愁を感じてしまう汽笛の音。それは、旅情気分を一層盛り上げてくる。

汽笛は機関車が走りだす合図だけではなく、鳴らし方によって意味が異なるのだ。
機関車と鉄道員、あるいは機関車同士の「会話」にも使われている。
最も多い汽笛は、「ポーッ!」という長音で、2~3秒程度鳴らされる。
これは発車の合図として使われており、周囲に存在を印象づけるという意味合いである。
走行中だけでなく、踏切や見通しの悪いカーブ、駅構内への進入時にも使われる。
橋やトンネルを通過する直前は、少し長めの「ポーォーッ!」となる。
駅での連結するとき、操車係の手旗やカンテラの合図に答える意味で「ポッ、ポッ」とも鳴らす。

大井川-015
お気に入りの「田野口駅」へと。
駅舎が木造で、昭和色が非常に濃く、駅名板の書体や裸電球がさらなる時代を感じさせてくれる、非常に貴重な駅の一つです。映画やロケでも度々使われるレトロな駅。
どこから見てもこの古さは素晴らしいです。この駅名標も味がありますよね。

大井川-016
田野口駅は無人駅です。駅舎内には誰もいません。
木の机やだるまストーブが残されていますね。机の上には、鉄道電話のボックス。

そして、その前に立てかけられている「輪っか」、若い人は知らないだろうなぁー。
タブレットキャリアというもので、あの輪の下に付いている袋に「タブレット」という金属製の板が入っていて、単線列車の衝突を防ぐための安全装置なのです。
駅に着くたびに、その板を出す機械があり、その板を持っている列車しかその区間に入れないことになっていました。
かつて、相模線がディーゼルで、手動の信号やポイント切り替えの時代に、タブレットキャリアを駅で交わしていたよなぁー
今では、信号が自動化されているので、そんなのはもう不要ですが・・・
このようにして、昔ながらのものが残っている。 さながら博物館のようです。

大井川-017
そうこうしているうちに、かつての関西私鉄である南海電鉄から譲り受けたズームカーと呼ばれる車両が通過しました。南海電鉄時代は主に南海高野線の急行列車として、110kmで走り抜けた経歴の持ち主!
第二の人生である「大井川鐵道」では、レトロな風景の中、ゆっくりと走り抜けます。

大井川鐵道の切符は、今では珍しくなった「硬券乗車券」で、改札では駅員が 一枚ずつきっぷ入鋏します。
普通電車は、写真の南海電鉄近鉄特急東急東横線と3種と、外見だけでなく、車内のつくりも それぞれ違います。
いゃー、大井川鐵道は、さながら動く鉄道博物館ですね!

大井川-018
川根本町では、今まさに「茶時」(ちゃどき)を迎えています。
「茶時」とは、お茶の収穫期のことで、各地のお茶畑では新芽の色で輝いて見えます。

大井川-019

新茶とは、5月上旬(八十八夜の頃)から6月に摘み取られたばかりの新芽から作られる 緑茶のこと。
お米の「新米」と同じで「旬の初もの」 なのです。
新茶が毎年注目 される理由は、他の作物同様「新鮮な美味しさ」があることはもちろん、一年でこの時期にしか楽しめない新茶独特の爽やかな味と香りを持っているからなのです。
ちょっと高かったけど、奮発して新茶をお土産に買いました・・・

大井川-020
地元では日本で一番短いトンネルと信じられている「地名トンネル」。
でも、山を掘ったトンネルではなく、かつて線路の上を通過したロープウェーが鉄道の架線と接触しないようにと覆った「建物」という見方もあります。

日本一短いトンネルと言っていますが、厳密にはこれはトンネルには分類されないのです。
そういった意味での日本一短いトンネルは、広島県を走るJR呉線にある川尻トンネル(全長8.7m)なのです。

大井川-021
そして、最後の峠を越えて、あと少しでゴールの金谷へ・・・
天空の絶景駅、エメラルドグリーンの湖や川面、新緑の山々の中の吊橋、緑のウェーブの茶畑、ノスタルジックな鉄道ロマンも!
こんな奥大井の大自然とレトロな鉄道を満喫しました!