彩の国の中でも最奥地にあたる紅葉スポットを巡ってみました!
秩父をスタートして、滝沢ダム~中津峡~ニッチツ鉱山~金山志賀坂線(八丁峠)といったルート。
このエリアの特徴は、深い渓谷が赤く染まる姿や、壮大な山々などが絶景なのだ!
奥秩父紅葉
初冬の澄んだ青空にモミジの赤色が映え、穏やかな時間の中で過ぎ行く季節を感じられて気分最高!
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奥秩父エリアの道路は、災害や落石、工事などにより不定期で通行止めになるので計画が立て難い。 
一時、中津川林道や金山志賀坂線を組み入れた紅葉ルートを考えたのですが、台風による落石災害により中津川林道は通行止めが継続中で復旧の目途が全くつかず。
金山志賀坂線も落石が多いことから通行止め・・・、とあきらめムードにいました。

ところが先週、くーまーさんびぃすけさんが金山志賀坂線を走られているではないですか?
HPを見ると、金山志賀坂線は先月10月8日から通行可能となっている。
ということで、まだ紅葉の色付きも残っていそうなので、中津峡から金山志賀坂線を経たルートで、今年の紅葉走り納めかな?と行ってみることに。
 
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よ~く、 秩父農林振興センターのサイトを見ると、雁掛トンネルの手前の上野大滝線の一部が、工事により時間規制されており、通行できる時間帯が、10:00~10:30、12:00~13:00と通行が制約されている。
週末は休工とは記載がないので、確実に通り抜けたいと思い、石橋を叩いて渡る(走る?)で、12:00に雁掛トンネルに到着するように、秩父からの行程時間の配分を考えて走ることに。

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霧に覆われた秩父市街をスタートして、R140号「彩甲斐街道」を荒川に沿って大滝方向へ走ってゆくと、渓谷がどんどん狭く、深くなって、渓谷沿いの紅葉の彩りが鮮やかになっていきます。

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大滝地区に入って間もなく街道沿いに見えるのが金蔵落しの渓流。
秩父・大滝エリアの紅葉スポットの玄関口として、観光客やカメラマンに人気なスポットです。

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そして、滝沢ダムが見えてきた。
ダムのすぐ下流にはインパクトある巨大なループ橋がある。

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ループ橋は1本の橋ではなく、半周ずつの2本の橋があり、「大滝大橋」と「廿六木大橋」をあわせて「雷電廿六木橋」(らいでんとどろきばし)と呼ばれている。

滝沢ダムは、荒川の支流である中津川を堰き止めて造ったダム。
比較的新しいダムで、高さが132m、長さが424mと埼玉県内では最大級です。
ちなみに、ダム湖の名前は「奥秩父もみじ湖」と呼ばれている。

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ダム管理事務所に寄って、まずはダムカードをゲット!
雁掛トンネル通過時間まで時間があるので、大人の社会科見学だ!と、ダム見学をさせていただくことに・・・
幅の広いダム天端を渡って中央部へ。堤体内部を通って見学できるエレベーター棟へと向かう。
エレベーターにより、ダム下の「下流広場」とダム天端とを移動することが可能。
階数表示上にEL.568とあるように、標高568mのダム天端から、121m下がってダム堤体を降下していく。

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大自然の風景の中にある巨大な人工建造物のダム、そのスケールの大きさや造形の美しさに魅了される。
洪水吐ゲートの点検放流を一度見てみたい。迫力満点だろうね!

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宮ヶ瀬ダムだと、エレベーターに自転車を載せて、ダム天端とダム下広場と行き来ができますが、滝沢ダムは、堤内の回廊途中に、こんな高低差14mの階段があるので、自転車での行き来はNGですね。


滝沢ダムを後にして、中津峡へと向かうと、徐々に紅葉が綺麗になっていく。

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そして、奥秩父随一の美しさと称賛される中津川の紅葉「中津峡」へと続く。
中津川両岸に岩壁がそそり立ち、カエデ、ナナカマド、ブナ類がV字峡の渓谷沿いで紅葉が楽しめる。

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大滑から谷の最奥の中津川地区までの約10kmの間は100mにもおよぶ絶壁もあり、原生林に覆われた渓谷が赤や黄色の木々に彩られる景色は、秩父でも有数の絶景として、埼玉県の名勝地にも指定されている。

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中津峡で有名な「女郎モミジ」のスポットは、さまざまな情景があり、必見の場所です。
撮影スポットだけとあって、多くの観光客が訪れていました。
ちなみに、一番左にある幹が斜めになっているのが「女郎モミジ」です。

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樹齢300年余年の「女郎もみじ」の名の由来は、艶やかな男女がこの地に突如現れ、2人の姿が2本のモミジに似ていたことからこの名がついたとの言い伝えがあります。
「持桶の女郎モミジ」であるが、表記が「女」と「郎」の間が空いて、「持桶女の郎モミジ」と読んでしまう。
この後は、持桶トンネル脇に狭い旧道が通っているので、そちらを走ることに。

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中津峡の紅葉を後にして、奥秩父の最果てともいえるエリアへと分け入っていく。
ここからは、いよいよ鉱山道路となる。
前述の道路規制の舗装工事個所はこの辺りだが、日曜日とあって休工のようだ。
舗装工事のやりかえのようで、路面状況は路盤材が施工されている状態だった。
こんな事だったら、もう少し早く通過したかったのに・・・

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秩父鉱山(通称:ニッチツ鉱山)の入口にあたる「雁掛トンネル」へと。
秩父側の坑口は、落石防止のロックシェッドがある。素堀のトンネル内部には、路肩両側に送電線とパイプラインが走り、車がやっとすれ違うことができる程度の幅しかない。

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雁掛トンネルを抜けると雰囲気が一変して、少し開けた明るい感じの谷間に出ます。
トンネルを抜けてすぐ右側に現れる、趣深いトンネル。いかにも廃墟へやって来たという感が強い。
このトンネルの向こう側は、かつての旧道があり、第一沈殿池(旧捨石堆積場)なるものもあるそうだが、立入禁止のため確認は取れていない。
立入りを禁ずる旨の表記があるが、落石の危険のみならずマムシも出没する場所なので、危険ありありの極めてリアルな旧道なのだ。

ニッチツ鉱山は、金・銀・銅・鉛など豊富な資源が取れ、戦国時代から採掘が始められたとされている。
1950年より日窒鉱業株式会社(現在のニッチツ)が運営のもと石灰が掘られていますが、現在では業務縮小となり、鉱山周りの地域は廃墟群となっています。

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秩父鉱山簡易郵便局、この郵便局、現役です!
8月に一時閉鎖となりましたが、10月から再開されました。
オール木造の昭和感たっぷり。手書き風の看板も味がありますね。

以前、平日に来たとき、消印を貰おうと局内に入りましたが、中も昭和の郵便局の雰囲気がたっぷりでした。
もちろん簡易局なので局員さんは郵便局の方ではなく許可を得たニッチツの社員の方でした。
その際にお話を聞いたところ、昔は一つの街ができていたほど人が住み込みで働いて、小・中学校もあり賑わっていたそうです。
この郵便局も簡易局ではなく、特定局として集配業務も請負っていたそうです。
時代の流れで業務縮小などによって、鉱山の住込社員はいなくなったそうです。

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かつては共同浴場で賑っていた。温泉街の外湯のような雰囲気がある。
ちなみに、左が男湯、右が女湯でした。
古い話だが、30年前ぐらいに訪れた時は、まだ人の気配が残る場所であった・・・

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しばらく走ると、金山志賀坂線の起点が現れる。
金山志賀坂線は、工事着手が昭和34年で、昭和57年(1982年)完成、延長は14.5Kmと建設石碑にある。

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かつて隆盛を極めた頃の社宅や工場跡が、今でも廃墟として残っていて、斜面沿いの広い範囲に渡って点在している。
建物が危険な状態となっていることや、廃墟マニアなどが勝手に入り込むのを排除するためなのか、立入禁止となっています。

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ニッチツ鉱山を過ぎると勾配もきつくなってきて、九十九折を上っていく。 そして、八丁隧道(1240m)に到着!
全長900mもある長いトンネル。向こう(出口)が小さく写っているが遠いっ!
素掘りのトンネルではないけど、トンネル内部は真っ暗で照明なし。
秩父側からだと下り勾配になっており、トンネルを吹き抜ける風がキーンと冷たかった。

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長いトンネルを抜けると・・・、石灰岩からなる岩峰である二子山を見据えた爽快な景色が広がる。

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八丁隧道を通り抜けて、小鹿野町側へと金山志賀坂線を下っていくと、行く手の九十九折の道が望めるスポットが現れる。
伐採が行われていて、その道筋が露わだ。埼玉の「ラルプ・デュエズ」とも呼ぶんですかね?

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以前、走りに来た時は山肌が木々で生い茂っていて、その道筋を見えていなかったが、今では山肌が広く伐採され手に取るように良く分かる。それで林道からは遮る物なく眺めが広がった。
こんな急斜面を上っていたのか(この先を下るのか)と、驚かされる。

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八丁隧道から志賀坂峠へ向かう沿道には、赤色成分が高いモミジが点在する。 こんなことから、金山志賀坂線は「モミジライン」とも呼ばれています。

植物分類では「モミジ」と「カエデ」は区別していません。植物学的にはモミジもカエデも「カエデ」と言い、どちらもカエデ科のカエデ属の植物です。なので、モミジという科や属はありません。
カエデの中で特に綺麗な紅葉した葉(子供の手のような形の葉)を「モミジ」と呼んでいます。

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その後も、カーブを曲がるたびに大パノラマが広がる。高度感をひしひし感じる。
いい景色を見つけては、ペダルから足を離し、シャッターを押してみる。 そんな一枚。
一筋の太陽光が尾根筋を照らし、伐採された山肌のススキが黄金色に一直線に輝いていて幻想的だった。

この後は、志賀坂峠を経て、国道299号の豪快なダウンヒルを楽しんで秩父市街地へと・・・
移動性高気圧に覆われて、穏やかに晴れて日差しが心地よく、とても気持ち良かった。
いやいや、小春日和の絶好の奥秩父紅葉巡りで大満足!